DO-IT Japan Diversity, Opportunities, Internetworking and Technology


DO-IT Japanの各種プログラム


DO-IT (Diversity, Opportunities, Internetworking and Technology)Japan プログラムでは,障害や病気のある小中高校生・大学生の高等教育への進学とその後の就労への移行支援を通じ,将来の社会のリーダーとなる人材を育成するため,「テクノロジーの活用」を中心的なテーマに据え,「セルフ・アドボカシー」,「障害の理解」,「自立と自己決定」などのテーマに関わる活動を行っています。

DO-IT Japanは,大きく分けて3つのプログラムから構成されています。

  1. スカラープログラム(中学生/高校生・高卒生/大学生・大学院生対象)
  2. PALプログラム (小・中学生とその保護者、高校生・高卒者、大学生・大学院生対象)
  3. School プログラム(学校/教員対象)

1.スカラープログラムの内容


全国から選抜された障害や病気のある中学生/高校生・高卒生/大学生の中から,将来の社会のリーダーとなる人材を養成することを目的としたプログラムです。DO-IT Japanでは,選抜を受けDO-IT Japanプログラムに参加した児童生徒・学生は「スカラー」と呼ばれます。スカラープログラムに参加資格があるのは,障害のある児童生徒・学生であり,本人にDO-IT Japan参加への希望があり,将来の社会のリーダーとなる資質を持っていると期待される人です。障害の種別は問いません。

1-1.スカラー選抜

毎年春先に参加者が公募されます。応募書類に基づいた書類選考と,その後の面接選考を通じて,毎年,それぞれ10名程度の中学生と高校生,5名程度の大学生が選抜されます。スカラープログラムに参加するためには,まずこの選抜を経る必要があります。

選抜の後,スカラーは,その夏に行われる夏季プログラムに参加します。その後も,スカラーは学齢に合わせた知識や経験を得るためのプログラムに継続的に参加することができます。また,中学生スカラーが高校に進学したときは,再度高校生スカラー選抜に応募する必要があります。

1-2.夏季プログラム等への参加

夏季には,数日間の夏季プログラムが東大先端研を主な会場として行われます。

東大先端研では,テクノロジーの活用についての様々なセミナーやワークショップに参加したり,企業を訪問して最新のテクノロジーや就労現場の様子について学んだり,実際に大学で行われているものと同様の講義に出席したりと,多彩な活動に参加します。先輩スカラーの生活や学びの工夫について学ぶセッションもあります。中学生や高校生のスカラーは,自分にとって必要なテクノロジーを学び,大学に入った後に何が起こるのかを疑似体験し,自立の第一歩となる機会を得ます。

大学生スカラーにとっては,より深い学びや日々の生活を支援するテクノロジー活用や,就労を見据えた制度の利用など自立生活についての様々な知識,障害のある先輩ですでに社会で活躍している人たちとの経験を知る交流を通じて,社会参加と自己決定,リーダーシップをとることについて学びます。また,秋季には,大学生スカラーを主な対象として,協力企業でのセミナー参加や,就労体験に関わる活動が別途設けられ,行われることがあります。企業の人々,一般公開イベントへの参加者,後輩スカラーたちに,大学生スカラーが自らの経験や考えを情報発信する機会があり,就労移行やリーダーシップに関する経験を得ています。

これらのイベントでは,多くの仲間たち(同期のスカラーや先輩スカラー,「チューター」と呼ばれる大学生ボランティア,アドバイザー等)と長い時間を過ごし,直接コミュニケーションする機会を持つことができます。多くの先輩や仲間たちの行動スタイルや意見,考え方に触れることで,ロールモデルを得たり,自己や他者,社会に対する視点を拡げる機会ともなっています。

いずれの機会でも,各々の場面で必要なテクノロジーの活用,学習や生活上の工夫,社会的に求められるマナーや一般常識を知ること,ニーズの異なる多様な仲間たちを含めた,周囲の人々に自分自身のニーズや考えを伝えることなど,大学生として,社会人としてそれぞれに求められることを学ぶ機会ともなります。

何より大切なのは,保護者や日頃の支援者から離れて暮らし,そのちょっとした生活の場面場面から,自分自身が自己決定し,責任を持つ機会を得ることです。周囲がスカラー本人に転ばぬ先の杖を出してしまう状況を離れて,チャレンジして失敗することもまた,大きな学ぶ機会であることを経験します。また,必要な配慮や支援は周囲に求めて良いものということを,仲間たちと共に実感を持って感じられる機会にもなります。

夏季プログラム期間中に行われる一般公開シンポジウムに参加して,スカラーがシンポジウム参加者に意見を述べる機会もあります。社会に対して自らの意見を発信し,障害のある人もない人もともに,また社会的な立場や意見が異なる人々,そして様々な困難のある人がともに生きるためには,どのような社会のあり方を目指すべきかを考える機会となっています。

並行して保護者に向けたセミナーを提供しており,長期的視点に立ってスカラーの学びや自立を支えるために,どのようなことが必要かを情報提供することも行っています。

1-3.オンライン・メンタリングへの参加

DO-ITの「I」は「Internetworking」の「I」です。スカラーは全国から参加しているため,お互いに遠く離れています。そこで日頃は,彼らはインターネット上で交流しています。悩みや困りごとの相談,近況報告,情報提供,ディスカッションなど,さまざまな目的でインターネットを活用しています。

・メーリングリストでの情報交換
・オンライン・ミーティングへの参加
・オフライン(+オンライン) ミーティングへの参加

1-3-1.メーリングリストでの情報交換

ネット上のコミュニケーションの中心となっているのは,メーリングリストです。DO-IT Japanの参加者全員が登録しているものや,スカラーだけが参加するもの,保護者だけが参加するものなど,いくつかのメーリングリストが作られ,コミュニケーションが行われています。

また,それぞれのメーリングリストには,DO-IT Japanのスタッフ(東京大学先端科学技術研究センター人間支援工学分野の教職員)や「アドバイザー」と呼ばれる障害のある人々の支援の専門家も参加しており,時に応じてアドバイスや相談を行っています。

1-3-2.オンライン・ミーティングへの参加

オンライン・ミーティングは,月に1度を目安に行われています。その時々でスカラーから提案されたトピックを中心に,オンライン会議システムを使い,テキストチャットが行われています。企画のとりまとめや日程調整,司会とファシリテーションは大学生スカラーが行うため,リーダーシップについての良い機会ともなっています。

1-3-3.オフライン(+オンライン) ミーティングへの参加

ネット上だけではなく,実際に顔を合わせて行う茶話会を季節に一度程度,開催しています。主に東大先端研を会場とした茶話会ですが,遠方であったり,入院や移動の困難のために参加が難しい人のためには,ビデオ会議システムを使って遠隔からその場に参加できる工夫を行っています。

1-4.個別相談

DO-IT Japanでは,個々のスカラーが直面している問題や困難の解決に関わる相談も受け付けています。学びや生活の中で生まれてきた個別の問題に対して,それを解決するための方法(例:読み書きやコミュニケーション,移動の困難等を軽減する方法)をともに考えることを,年間を通じた個別相談により行っています。

また大学入試の際には,スカラーが行うセルフ・アドボカシー(例えば,過去に前例はないが,自分にとっては必要不可欠な配慮を,高等教育機関や大学入試センターに求めることなど)を支援しています。DO-IT Japanは科学的手法により得られたエビデンスに基づいて個別ニーズの根拠を示し,スカラーが「その配慮が合理的なものであり,筋の通ったものであることを説明する」ための支援をしています。こうした活動は,個々のスカラーの支援だけではなく,全国の障害のある生徒の受験にとっても,高等教育の門戸を開くことにつながっています。


2.PALプログラム


PALプログラムには,多様な障害を原因として,学びの困難を抱える小・中学生とその保護者、高校生・高卒者、大学生、大学院生(本人)であれば,誰でも登録できます。テクノロジーを活用した学びの保障について学ぶ機会を,できる限り多くの,困難を抱える学生に届けることを目的としたアウトリーチ・プログラムです。

具体的には,PALが参加できる一部のセミナー等を開催する場合、参加することができます。また、学習を支援するテクノロジーの利用方法/配慮事例/イベント参加に関するメールマガジンを定期的に受け取ることができます。


3.Schoolプログラム


Schoolプログラムは,障害のある児童生徒・学生たちの社会参加を支援・促進する活動をDO-IT Japan協力企業の方々と拡げていくための取り組みです。障害のある人々だけではなく,その周囲の学校や機関にテクノロジー製品やサービス,およびその活用ノウハウを届ける働きかけを行うことで,配慮のある社会環境の実現を目指しています。DO-IT Schoolでは,DO-IT Japanのリソースに加えて,それぞれの協力企業各社が持つリソースを活用した独自のプログラムを全国に展開します。現在までに行ってきたDO-IT Schoolプログラムを以下に示します。

  • ディスレクシアプログラム(2013年度)
  • OAKプログラム(2013年度~継続中)
  • アクセシブルテストプログラム(2014年度~継続中)
3-1-1.OAKプログラム
プログラム概要

DO-IT Japanは、東京大学先端科学技術研究センターが中心になって行っている、障害があったり病気を抱えている子どもたちのためのプロジェクトです。DO-IT School OAK プログラムは、その一環として、肢体不自由などの理由により、通常の方法では能動的活動や意思表出が難しい小中学生を対象にする実証研究プログラムです。東京大学先端科学技術研究センターが主体となり、日本マイクロソフト株式会社がソフトウェア等の提供、株式会社東芝がハードウェア等の提供を行い、合同で実施します。教員(指導者)の方から指導計画を含めた応募を受け付け、採択させていただいた研究に、Windows 8 PC、Kinect for Windows、OAK(Observation and Access with Kinect)と、それらを利用するためのノウハウを提供し、日々の学習や生活に活用する実証研究を実施していただきます。報告いただいた成果は広く公開し、共有・発展させることを目的としています。

研究協力校

厳正なる審査を経て,DO-IT School 2014「OAKプログラム」の研究協力校が決定いたしました。

都道府県 研究協力校名 教員名(敬称略)
静岡県 静岡県立静岡南部特別支援学校 美尾 陽子
香川県 香川県立高松養護学校 佐野 将大
東京都 東京都立八王子東特別支援学校 谷本 式慶
徳島県 徳島県立ひのみね支援学校 乾 和彦

OAK(オーク)の開発について

東京大学先端科学技術研究センターと日本マイクロソフト株式会社は,入力デバイス「Kinect for Windows」を応用した,重度の肢体に障害がある方の活動を支援するソリューション「OAK - Observation and Access with Kinect」(OAK) を共同開発しました。

脳性まひや脊髄性筋萎縮症などにより重度の障害がある人の手や体,顔(目や口)の動きを「Kinect for Windows センサー」で検出し,家電やおもちゃ,コミュニケーション機器などのスイッチ操作を可能とする全く新しい技術です。従来のスイッチと異なり,機器を体に装着する必要がなく,簡単に設定,操作ができます。また新たに体の動きをログ(履歴)として保存できる機能により,これまで気付きにくかった子ども達の小さな動きやその変化の理解にも役立ち,利用者の能動的な活動の育成を支援します。

OAKのロゴ


3-1-2.アクセシブルテスト プログラム
プログラム概要

DO-IT Japanは、東京大学先端科学技術研究センターが中心になって行っている、障害があったり病気を抱えている子どもたちのためのプロジェクトです。DO-IT School アクセシブルテスト プログラムは、その一環として、読むことや書くことに困難があったり(ディスレクシア)、発達障害、肢体不自由、視覚障害など、学習するうえで困難のある小中学生を対象にする実証研究プログラムです。近年学習にICTが活用されるようになってきましたが、試験の場では、ICT機器の利用が許されていないことが一般的です。このプログラムでは、日々の学習はもちろん、テストにおいてもICTを活用することで、困難を補い、本質的な学びを実現させることを目指します。東京大学先端科学技術研究センターが主体となり、日本マイクロソフト株式会社がソフトウェア等の提供、株式会社東芝がハードウェア等の提供を行い、合同で実施します。教員(指導者)の方から指導計画を含めた応募を受け付け、採択させていただいた研究に、最新のWindows 8タブレットやツール、タブレットを使って学習やテストをするためのノウハウを提供し、日々の学習やテストで活用する実証研究を実施していただきます。報告いただいた成果は広く公開し、共有・発展させることを目的としています。

研究協力校

厳正なる審査を経て,DO-IT School 2014「アクセシブルテスト プログラム」の研究協力校が決定いたしました。

都道府県 研究協力校名 教員名(敬称略)
奈良県 生駒市立生駒小学校 高橋 順治
静岡県 浜松市立三ヶ日西小学校 菊地 寛
大阪府 大阪府立視覚支援学校 鮫島 佳江
奈良県 奈良市立富雄南中学校 吉村 勇司
千葉県 印西市立滝野中学校 佐藤 新太郎
兵庫県 神戸市立魚崎小学校 青戸 正裕
神奈川県 川崎市立真福寺小学校 川合 美友紀
愛知県 北名古屋市立五条小学校 山田 国枝
茨城県 つくば市立春日小学校 山口 禎恵
東京都 八王子市立第一中学校 豊吉 淳
鳥取県 大山町立名和小学校 内田 利幸
石川県 金沢市立泉中学校 道下 浩一
 

3-2.Schoolプログラム報告会


  1. 開催日: 2014年1月25日
「DO-IT School」は、読み書きに困難のある子どもを携帯情報端末の活用によりサポートする「ディスレクシア プログラム」と、肢体不自由などにより、通常の手段では入出力が難しい子どもをICTでサポートする「OAKプログラム」を実施しています。
「OAKプログラム」では、子どもの能動的な意思表出などを、顔や手などのわずかな動きから感知してコンピューターに信号を送ることができるセンサー「Kinect for Windows」などを活用しています。今回の成果報告会では、「ディスレクシア プログラム」の3事例、「OAK プログラム」の2事例を紹介します。
また午後には「魔法のランププロジェクト(http://maho-prj.org)」の成果報告会を開催します。2013年4月から、特別支援学校・特別支援学級87校に所属する生徒・教員を2人1組にした98組に、携帯情報端末を貸し出し、実際の教育現場および日常生活の場で活用いただいています。今回の成果報告会では、6つの事例を紹介するとともに、各校の取り組み内容をポスタセッションとして会場内で実施します。

主催:東京大学先端科学技術研究センター人間支援工学分野
開催事務局:(株)エデュアス 事業推進部


日時:

1月25日 土曜日 午前10時~午後5時

場所: 
東京大学先端科学研究センター
東京大学先端科学技術研究センター ENEOSホール 
〒153-8904 東京都目黒区駒場4丁目6番1号 
アクセスはこちら
プログラム:

「DO-IT School」成果報告会 

午前09時30分  受付開始
 
午前10時00分 「ディスレクシア プログラム」 実践研究事例紹介
(1)奈良県 生駒市立生駒小学校  高橋 順治(発表資料
(2)鳥取県 大山町立名和小学校  内田 利幸(発表資料
(3)島根県 安来市立赤江小学校  井上 賞子(発表資料

午前11時00分 「OAK プログラム」 実践研究事例紹介
(1)長野県 長野県立稲荷山養護学校   青木 高光(発表資料
(2)香川県 香川県立高松養護学校   谷口 公彦(発表資料

特別講演

午前11時40分 「教育へのICT利活用の潮流」 東京大学先端科学技術研究センター 教授 中邑 賢龍

「魔法のランププロジェクト」成果報告会      

※実践事例研究発表資料は「魔法のプロジェクト サイト(http://maho-prj.org/)」、
  「魔法のプロジェクト チャンネル プレサイト(http://www.youtube.com/user/mahoprj)」をご参照下さい   

午後1時00分 受付開始      

午後1時30分 実践研究事例紹介①      
(1)山口県 山口県立山口総合支援学校   坂本 恭子
(2)東京都 都立北特別支援学校   中村 早希
(3)香川県 香川県立高松養護学校   佐野 将大

午後3時00分 休憩・ポスターセッション

午後3時40分 実践研究事例紹介②  
(4)香川県 香川県立善通寺養護学校   近藤 創
(5)三重県 三重県立特別支援学校北勢きらら学園   上嶋 早苗
(6)大分県 大分県立大分支援学校   岡本 崇

午後5時 閉会


3-3.Schoolプログラム成果報告書


「DO-IT Schoolプロジェクト」とは,東京大学先端科学技術研究センター・人間支援工学分野、日本マイクロソフト株式会社,株式会社EDUASの共同プロジェクトの名称です(2013年4月プロジェクト開始)。

「DO-IT School」では,読み書きに困難のある子どもを携帯情報端末の活用によりサポートする「ディスレクシア プログラム」と,肢体不自由などの理由により,通常の手段では能動的な意思表出などが難しい子どもをICTでサポートする「OAK プログラム」を実施しています。

「OAK プログラム」では,子どもの能動的な意思表出などを,顔や手などのわずかな動きから感知してコンピューターに信号を送ることができるセンサー「Kinect for Windows」などを活用しています

この報告は2013年度に実施された「ディスレクシア プログラム」および「OAK プログラム」による実践研究から作成されています

  • 本件に関するお問い合わせ先:

DO-IT Japan 事務局
〒153-8904 東京都目黒区駒場4-6-1
東京大学先端科学技術研究センター 3号館311
電話/FAX:03-5452-5228
メールアドレス:info@doit-japan.org
DO-IT Japanウェブサイト:http://www.doit-japan.org/

 

3-3-1.ディスレクシアプログラム

「読み書きの苦手な子どもたちの新しい学びのスタイル」

知的な遅れがなくても、読むことや書くことが苦手な子どもたちの存在は、まだ多くの方には知られていません。まして、その子どもたちが学習する際に適切な支援を受けられていることは極めて少ないのが現状です。

教科書を読むのが遅い、読み飛ばしたり間違えて読んでしまう、黒板を書き写すのに時間がかかる、ひらがなや漢字を間違って書いてしまうなど、読むことや書くことが苦手な子どもたちは、様々な教科の学習に遅れが出てきてしまいます。

質問や問題を聞いて理解し口頭で答えることができても、テストになると読み書きに遅れがあるために十分な成績が得られず、自信を無くしてしまったり、学習意欲が低下してしまっている子どもも多くいます。

このプロジェクトは、こういった子どもたちの学習を支援する具体的方策を示し、彼らが学習のスタートラインに立てるようにするためにスタートしました。

今回のプロジェクトでは、タブレット型パソコンであるMicrosoft Surface Proが導入されました。画面にタッチする、キーボードを使って文字を入力する、ペンで画面に直接文字を書いて文字認識させるなど、複数のインターフェースがあるため、それぞれの子どもや場面にあった入力方法が試行され、実践されました。また、同時に複数のアプリを開いて作業ができるため、多くの情報を処理・整理する作業も実践されました。特別なアプリでなく、先生が使い慣れたワープロソフトMicrosoft Wordでも、読むことや書くことが苦手な子どもを支援する実践も行われました。

 一方、このようにパソコンやタブレットが役に立ちそう、とわかっても、読み書きが苦手な子どもだけが授業にパソコンやタブレットを持ち込んで使うことは難しい、という声があります。

特定の子どもだけがパソコンやタブレットを使うことを不公平に思う気持ちが、大きな原因です。

しかし、読み書きが苦手な子どもたちは、自分の苦手さを補う道具としてパソコンやタブレットを使うのであって、それで初めて他の子どもたちと同じ学びのスタートラインに立てるにすぎません。学ぶことの本質は同じであり、決してパソコンやタブレットを使うことで「ずる」をしているわけではないのです。

このプロジェクトに参加する子どもたちを見るうちに、家族・教師、そしてクラスメイトの学び方に対する理解が進むはずです。その時には各自が自分の苦手をテクノロジーで補って、様々なスタイルで学びを楽しむ時代が来るに違いありません。

所属 報告者(敬称略) ダウンロード
川中島小学校 盛光 秀之 報告書PDF
石部南小学校 福永 里美 報告書PDF
安来市立赤江小学校 井上 賞子 報告書PDF
大山町立名和小学校 内田 利幸 報告書PDF
生駒小学校 高橋 順治 報告書PDF

3-3-2.OAKプログラム

「重複障害のある子どものコミュニケーションの第一歩」

重度重複障害のある子どもたちの中には、その動きがわずかであるため、自分で外界に働きかける動きが大きく制限されている場合があります。また、その子どもたちとのコミュニケーションは、周囲の人がそれぞれの感覚で意思を読み取っている場面が多く見られました。

OAK (Observation Access with Kinect)は、パソコンにUSBでつながれたセンサーKinect for Windowsでとらえた動きを可視化したり、スイッチ操作に変換できるシステムです。

これまでは人の目で子どもたちを観察しても、わずかな動きを捉えるのが難しかったり、関わり方によって子どもの反応がどう変化するかを観察し比較することは容易ではありませんでした。

OAKでは、そのわずかな動きを長時間観察し、加算し、誰にでもわかる形で示すことができます。それを使うことで、今まで気がつかなかった子どもの意思がわかる可能性がでてきました。

また、今までのスイッチで取り出しにくかった、わずかな指や目や口などの動きで、子どもたちがおもちゃや家電製品を操作したり、パソコンに文字を入力することを可能にします。わずかな動きで反応が得られることで、子どもたちの因果関係理解が進み、外へ働きかける意欲が高まることも期待できます。これまでの多くのスイッチと違い、指などに接触させる必要がなく、また、ゲームなどに使われている汎用的なセンサーを使い、システム自体も安価であることも、大きな可能性をもち、様々な実践は参考にしていただけると思います。

このプロジェクトが、重度重複障害のある子どもたちの新しい学び、生活の第一歩になることを願います。

所属 報告者(敬称略) ダウンロード
京都市立呉竹総合支援学校 川上 愛里 報告書PDF
横浜市立中村特別支援学校 松浦 美咲 報告書PDF
児湯るぴなす支援学校 岩田 知子 報告書PDF
八雲病院 田中 栄一 報告書PDF
稲荷山養護学校 青木 高光 報告書PDF
高松養護学校 谷口 公彦 報告書PDF
高松養護学校 佐野 将大 報告書PDF
高松養護学校 佐野 将大/谷口 公彦 報告書PDF
高松養護学校 西村 健一 報告書PDF
平養護学校 稲田 健実 報告書PDF
京都市立東総合支援学校 山口 京子 報告書PDF
おおきなき 相澤 純一 報告書PDF

以上